ドゥラメンテって何?経歴は?種牡馬としての成績や産駒についても解説!
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ドゥラメンテって何?
ドゥラメンテとは、日本の競走馬・種牡馬で、馬名の意味は、イタリア語の「duramente(荒々しく、はっきりと)」という音楽用語から来ています。
2015年に皐月賞、東京優駿のクラシックに冠を制し、JRA賞最優秀3歳牡馬に選出されました。
欲2016年にはアラブ首長国連邦のドバイシーマクラシック(GI)で2着、続いて宝塚記念でも2着となりましたが、この競走中に競走能力を喪失するけがを負い、引退して種牡馬となりました。
種牡馬入り後はタイトルホルダー、リバティアイランド等6頭のGI級競争優勝馬を輩出していますが、タイトルホルダーによる産駒初のGI優勝を見ることなく、2021年8月31日に急逝大腸炎のため、僅か9歳の若さで死亡しました。
今回はそんなドゥラメンテについてご紹介していきたいと思います。
ドゥラメンテの経歴
デビュー前
母はエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴで、出産後の10月に死亡したため、最後の産駒でした。
祖母であるエアグルーヴは優駿牝馬・天皇賞(秋)を勝った名馬で、更にその母のダイナカールも優駿牝馬を勝っており、母子4代でのGI制覇となりました。
ノーザンファーム場長の中島文彦によると、ドゥラメンテは当歳時は骨の成長が速かった半面、やや馬体が薄くクラブで募集された時には少し繋ぎが硬いところがあり全てのバランスが良かった訳では無かったので、「ある程度じっくりやってくれる厩舎が良い」という事で、三浦トレーニングセンターの堀宣行厩舎への預託を決めたそうです。
2歳
デビュー戦は10月12日の東京優駿競馬場芝1800m戦で1番人気に推されるも出遅れてしまい、2着という結果になりました。
2戦目は東京の未勝利戦に出走。
2着に6馬身差をつけて初勝利を挙げましたが、ゲート内で立ち上がったために発走調教再審査が課されました。
3歳
前年末に帰厩後、クビに輪を通してゲートに固定し、ゲート内で駐立させる訓練をしました。
2月1日のセントポーリア賞では直線で抜け出すと、2着に5馬身差をつけ圧勝、中1週で共同通信杯を目指すこととなりました。
共同通信杯でも圧倒的な1番人気に推されるものの、道中では折り合いを欠き、スムーズに運んだリアルスティールに敗れました。
次走は馬の状態を優先させ、トライアルを経ずに皐月賞直行をめざし、除外された場合は、青葉賞を経て東京優駿出走を予定していました。
賞金的に出場は難しかったものの、出走馬が36年ぶりにフルゲートに満たなかったため、無事出場することとなりました。
新たな鞍上として同年にJRAの通年騎乗免許を取得したミルコ・デムーロ騎手を迎えて臨んだ4月19日の第75回皐月賞では、3連勝で弥生賞を制したクリストフ・ルメール騎乗のサトノクラウン、福永祐一騎乗のリアルスティールに続く3番人気に支持されました。
逃げるクラリティスカイが緩みないペースを作り、これを2番手のスプリングステークス勝ち馬キタサンブラックらが追走する中、ドゥラメンテの序盤は後方からのレースとなり、第4コーナーで内側から大外まで大きく斜行しましたが、体勢を立て直すと直線では強烈な末脚を披露し、早め先頭に立ったリアルスティールを交わし勝利しました。
5月31日の第82回東京優駿では単勝1.9倍で1番人気となりました。
レースでは折り合いが心配されていましたが、道中は中団に位置し、直線に入ると坂の途中で先頭に立ち、押し寄せる後続馬をものともせずに押し切り勝利しました。
これにより、2011年に達成したオルフェーヴル以来、4年ぶり史上23頭目となる春の2冠達成となりました。
また勝ち時計2分23秒2は父キングカメハメハとディープインパクトが記録した2分23秒3を0.1秒更新するレースレコードとなりました。
また、関東所属のダービー馬は2009年に制したロジユニヴァース以来6年ぶり、関東所属のクラシック二冠馬は1997年のサニーブライアン以来、実に18年ぶりとなりました。
鞍上のデムーロにとっては2003年のネオユニヴァース以来となる二冠達成となりました。
東京優駿後、秋に目標とするレースについて、三冠達成がかかる菊花賞、あるいは10月4日にフランスのロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞の2つが浮上しました。
しかし、ノーザンファーム早来へ放牧されていた際に両焼骨遠位端骨折が発見されました。
堀調教師のコメントによればドゥラメンテの両脚の関節内へ米粒程度の軟骨片が遊離している状態であり、症状としては軽度とされるも、今後について関係者間で協議して手術を行い骨片を摘出することに踏み切ったと言います。
手術によりドゥラメンテの競走能力へ影響が及ぶ懸念は無いと堀調教師はコメントしていますが、もとより手術やリハビリ期間だけでも6か月を要し、さらに復帰時期が厳寒期に差し掛かる為、より慎重なリハビリメニューをドゥラメンテに施し再起を図りました。
東京優駿以来、秋シーズンは全休を余儀なくされたものの皐月賞、東京優駿のクラシック春二冠制覇が大きく評価され、2016年1月6日に行われた2015年度JRA賞受賞馬選考委員会において、投票数291票中285票という圧倒的な得票数で最優秀3歳牡馬に選出されました。
4歳
2月28日に行われた中山記念で9か月ぶりに復帰。M.デムーロ騎乗で単勝2.1倍1番人気に推され勝利。
今後のレースは3月28日にメイダン競馬場で行われるドバイ国際競走出走を予定し、その後の経過によっては凱旋門賞も視野に入れているとコメントしました。
3月3日、ドバイシーマクラシックへ出走することが正式に発表されました。
ドバイシーマクラシックでは、馬場入場後右前脚の蹄鉄を落鉄するアクシデントが発生、蹄鉄の打ち直しもうまくいかずそのまま発走し、その影響もあってイギリスのポストポンドの2着に敗れました。
6月26日、3か月ぶりの実戦として宝塚記念に出走し、天皇賞(春)を勝利したキタサンブラックを抑え、単勝1.9倍の1番人気に支持されました。
しかし、直線で外から伸びを図るも、先に抜けたマリアライトにクビ差及ばず2着に敗れ、その直後に歩様が乱れレース後に下馬し、左前肢ハ行とする診断がなされました。
吉田俊介は「凱旋門賞への出走はやめます。今後のローテーションについても白紙です」と語り、今後の病状によっては、2016年度も凱旋門賞への出走を事実上見合わせる方向で調整する予定でしたが、6月29日、複数の靭帯、腱の損傷によって獣医師から競走能力喪失の診断が下され、引退することとなりました。
種牡馬時代
引退後は種牡馬となり、社台スタリオンステーションで繋養されることが決まりました。
2017年から供用が開始され、同年は種牡馬生活1年目にして国内年間種付頭数の過去最高となる284頭との繁殖牝馬と交配されました。
翌2018年1月15日にノーザンファームにて初産駒となる鹿毛の牝馬が誕生しました。
母が現役時代にGI3勝を挙げたスイープトウショウだったため、両親のGI勝利数を合計して「五冠ベイビー」と称されました。
同馬は後にクリーンスイープと命名され、シルクレーシングの所有馬、美浦の国枝栄厩舎の所属馬となっています。
2018年もロードカナロアの294頭に次ぐ290頭の繁殖牝馬と交配され、2020年に初年度産駒がデビューしました。
6月から始まる中央での新馬戦に先駆け、浦和でデビューしたトーセンウォーリアが4月24日に新馬勝ちを収め、これが産駒の初出走初勝利となりました。
ドゥラメンテの産駒の特徴
牡馬と牝馬で適正距離が違う
これまでのデータをみると、ドゥラメンテ産駒は牡馬と牝馬で適正距離に違いがあるという特徴があります。
ドゥラメンテの代表的な産駒であるタイトルホルダーが弥生賞を制覇したことからもわかる通り、牡馬は完全に短距離型です。
他の産駒も1600~1800mでは複勝率30%前後と高いため、ドゥラメンテの父であるキングカメハメハの血を色濃く継いでいるのがわかります。
そのため、ドゥラメンテの牡馬でレース距離から絞ろうと考えている場合は、1600mを軸にすることをおすすめします。
その一方で牝馬は、中距離以上に適正があります。
これまで1600m以下では9勝しかできていませんが、中距離以上では17勝もしているため、1800~2400mあたりの距離が適正であるといえます。
もともとドゥラメンテは万能タイプの競走馬で、マイルから中距離を得意にしていました。
切れ味が鋭い瞬発力が魅力的な種牡馬だったのでそれが牝馬には色濃く受け継がれており、得意な距離が長くなっています。
気性の荒さを継承する可能性が高い
ドゥラメンテの母方にはサンデーサイレンスの血が入っています。
競馬ファンであれば知っていますが、サンデーサイレンス系は気性の荒さで有名。
その血を継いでいるのかドゥラメンテ自体も気性は荒くレースに向かう姿勢が野性的な馬でした。
気性の荒さは勝負根性が強くなるというメリットがある一方で、レースに集中できないというデメリットもあります。
ドゥラメンテは気性の荒さが良い方向に向いている好例でしたが、産駒はどうなるかわかりません。
SS系の血を引き継いでいるため、ドゥラメンテ産駒が気性が荒くなる可能性は高いでしょう。
手足が長い
ドゥラメンテ産駒は手足と胴が長い仔が多いという特徴があります。
そもそもドゥラメンテも手足と胴が長いため、飛び幅が大きくそれが瞬発力の高さに繋がっていました。
手足が長い仔は広い東京競馬場などを得意とするため、小回りが必要ない会場でレースを行われる場合はドゥラメンテ産駒に注目してみましょう。
しっかりとした体格の仔が生まれやすいという特徴がありますので、距離適性は中距離あたりを狙ってみるのがいいかもしれません。
体格とドゥラメンテ譲りの瞬発力を兼ね備えている産駒が誕生すれば、とんでもない化け物が生まれる可能性も十分に考えられます。
タイトルホルダー
ドゥラメンテ産駒で最も注目してほしい馬はタイトルホルダーです。
デビュー戦で1番人気に応え、1着入線。
三歳時に出走した弥生賞でドゥラメンテ産駒として初の重賞制覇を成し遂げてそのままクラシック戦線へと向かいますが、皐月賞では2着、日本ダービーでは6着と勝利することはできませんでした。
しかしながら、皐月賞では惜しくも2着という好成績なので、世代のなかではトップクラスの実力を兼ね備えていることは間違いありません。
重賞勝利した弥生賞では抜群のスタートからそのまま好位置をキープして逃げ切ったので、スタートど道中で埋もれない位置取りが課題です。
前述したようにドゥラメンテはすでに亡くなっているため、今生まれている仔が引退すれば産駒はいなくなります。
ドゥラメンテの血を後世へ受け継ぐためにも、今後のタイトルホルダーの活躍からは目が離せません。
まとめ
今回の記事ではドゥラメンテについてご紹介していきました。
怪我に泣かされた稀代の名馬ドゥラメンテは、種牡馬となった後も怪我の影響により長くは生きることができませんでした。
しかし、初年度284頭、翌年290頭と棚付けの数は非常に多いため、これからの1年から2年で数多くのドゥラメンテ産駒が競馬界に登場するはずです。
凱旋門賞を制覇する実力があるとまでいわれた稀代の名馬であるドゥラメンテ産駒の今後の活躍に期待したいです。
ドゥラメンテについて気になった方は是非チェックしてみてください。