香港国際競争って何?レース毎の特徴や視聴方法などを解説
香港国際競争って何?
香港国際競争とは、毎年12月第2周頃に行われる香港ジョッキークラブ主催の競馬イベントシリーズのメインイベントで、イベント週の日曜日に香港にある沙田競馬場を開催場として施行される4つの国際競争の総称です。
8月を1年の起点としている香港競馬年度シーズン全半最大のイベントであると共に、暦年では世界の国際交流競走において1年の締めくくりを飾る競走群です。
2011年まではキャセイパシフィック航空がメインスポンサーとなり、正式名称も「國泰航空香港國際賽事」として開催されていました。
2012年からはメインスポンサーがロンジンに変更され、現地の正式名称も「浪琴表香港國際賽事」となります。
前哨戦のレーススポンサーもロンジン及び中國銀行に変更となりました。
メイン競走として行われる香港カップ競争は、かつて「ワールドレーシング・チャンピオンシップ」の最終戦として行われ、レース後には表彰式も同競馬場で執り行われていました。
2006年の開催からは香港スプリント競走が短距離路線における世界選手権「グローバル・スプリント・チャレンジ」の最終戦に指定されました。
今回はそんな香港国際競争についてご紹介していきたいと思います。
当日行われる重賞
香港国際競走(香港カップデー)では1日でGIが4つ開催されます。
まるでドバイワールドカップデーや地方競馬のJBCを彷彿とさせるような日で、世界中の競馬関係者が注目しています。
香港は日本からそこまで遠くない上、さまざまな距離のレースがあるので日本からも毎年のように参戦しています。
競走名 | 中国語表記 | 格 | 出走条件 | 施行コース | 賞金総額 |
香港ヴァーズ | 香港瓶 | G1 | 3歳以上 | 芝2400m | 2000万香港ドル |
香港スプリント | 香港短途錦標 | G1 | 3歳以上 | 芝1200m | 2000万香港ドル |
香港マイル | 香港一哩錦標 | G1 | 3歳以上 | 芝1600m | 2500万香港ドル |
香港カップ | 香港盃 | G1 | 3歳以上 | 芝2000m | 2800万香港ドル |
香港ヴァーズ
香港ヴァーズは日本でいう典型的な中距離コースで、距離だけ見たらダービーやオークス、ジャパンカップと同じです。
しかし、香港では芝2000m以上のレースがあまり組まれていません。
また、芝2,400mのレースは一年を通して香港ヴァーズとチャンピオン&チャッターカップのみとなっています。
そのため、香港馬よりも距離実績がある日本馬や欧米馬の方が結果を残しています。
香港ヴァーズの開催内容(2022年)
開催日 | 12月11日(日曜) |
発走時刻(日本時間) | 15時10分 |
格付け | G1 |
開催競馬場 | シャティン競馬場 4R |
コース | 芝2,400m |
性齢 | 3歳以上 |
斤量 | 定量 |
1着賞金 | 12,540,000香港ドル(約2億2000万円) |
香港ヴァーズが開催されるシャティンの芝2,400mの特徴
シャンティ競馬場は1周約1,889mある競馬場で、右回りコースを使用。
フルゲートは14頭となっています。
レース数が少ないことでも有名で、近年は年に2回しか開催されないことから意外とデータも少ない舞台となっています。
スタート地点は正面スタンド4コーナーポケットの出口付近です。
最初のコーナーまでは500m近くあり、ポジション争いはほとんど起きません。
前半のラップを1ハロンごとに見ると、12秒台前半~半ばで推移する傾向があるので、序盤は各馬ゆったりしながら走ります。
なぜなら、スタートから向こう正面にかけて緩やかな上り坂が続くからです。
各馬後半に備えて力を温存しているのです。
スローの展開はコーナーを過ぎ、坂のてっぺんがある向こう正面半ばまで続きます。
レースが動き出すのはラスト4ハロンの標識を過ぎたあたりです。
このあたりから下り傾斜に切り替わるので、各馬はおのずとペースアップします。
また、3コーナーを過ぎたあたりで落差2mの急な下り坂が出てきます。
このあたりから各馬は一気に加速するため、日本でよくみられる直線一気はなく、どちらかというと早仕掛けの傾向が強いです。
最後の直線は約430mです。
香港ヴァーズは高低差の関係から、かなり早い段階で動き出します。
そのため、長く脚が使えるロングスプリント質の馬が結果を残しやすい傾向にあります。
また、馬場は西洋芝のバミュータグラスとペレニアルライをオーバーシード(混在)しています。
いわゆる洋芝なので、パワーのある馬が結果を残しやすいです。
香港ヴァーズをリアルタイムで視聴する方法
香港ヴァーズの視聴方法は主に2つあります。
テレビの場合はフジテレビ系列やBS11の中央競馬中継の合間に放送されます。
香港ヴァーズは15時台、ちょうど中央競馬のメインレースが開催される時間帯に行われるため、番組内に編成されます。
ラジオの場合はラジオNIKKEI第1で視聴できます。
ラジオアプリの「radiko」や「radikker」などを利用すれば全国どこでも無料で香港ヴァーズの中継を楽しむことができます。
香港スプリント
香港スプリントはシャティン競馬場で開催される芝1,200mのスプリント競走です。
実は、香港は世界屈指のスプリント大国です。
過去には世界中の名馬が香港馬に宣戦しましたが、ほとんどの馬が香港の精鋭たちに敗れました。
日本馬も2012年のロードカナロアが勝利するまで、1頭たりとも勝利することができず、一部の関係者からは「凱旋門賞よりも勝つのが難しいレース」と言われてきました。
しかし、ロードカナロアが日本馬としては史上初の制覇&連覇を成し遂げると、息子のダノンスマッシュも2020年に制し、近年は日本馬も健闘しています。
香港スプリントの開催内容(2022年)
開催日 | 12月11日(日曜) |
発走時刻(日本時間) | 15時50分 |
格付け | G1 |
開催競馬場 | シャティン競馬場 5R |
コース | 芝1,200m |
性齢 | 3歳以上 |
斤量 | 定量 |
1着賞金 | 13,680,000香港ドル(約2億4000万円) |
香港スプリントが開催されるシャティンの芝1,200mの特徴
シャティン競馬場は右回りコースでフルゲートは14頭です。
スタート地点は向こう正面真ん中付近で最初のコーナーまでが約300mです。
比較的短いうえ、前傾ラップになりやすいです。
3コーナーと4コーナーは外ラチに向かってななめ上り傾斜となっています。
坂が遠心力をセーブしてくれることから、スピードを落とさずコーナーを回ることが可能となっています。
4コーナー付近はフラットで直線に向くと緩やかな下り傾斜となっています。
最後の直線は約430mで阪神競馬場外回りとほとんど変わりません。
長い直線では末脚を思う存分活かすことが可能です。
シャティンの芝1,200mはコースの造り上、スピードを発揮しやすいコースとなっています。
例えば、スタート前の直線は前傾姿勢になりますし、コーナーもスピードを活かして回れます。
最後の直線も下り傾斜なのでスピードに乗りやすいですね。
このことからスピードタイプが有利に感じます。
ところがシャティンは欧米で使われる西洋芝を導入していることから洋芝が舞台となっています。
そのため、時計にはかかりやすいのが特徴で、日本の野芝で結果を残した馬にとっては少し適性がかみ合わない可能性もあるのです。
ただのスピード任せではなく、タフな馬券で結果を残している馬にも注目です。
香港ヴァーズをリアルタイムで視聴する方法
香港ヴァーズの視聴方法は主に2つあります。
テレビの場合はフジテレビ系列やBS11の中央競馬中継の合間に放送されます。
香港ヴァーズは15時台、ちょうど中央競馬のメインレースが開催される時間帯に行われるため、番組内に編成されます。
ラジオの場合はラジオNIKKEI第1で視聴できます。
ラジオアプリの「radiko」や「radikker」などを利用すれば全国どこでも無料で香港ヴァーズの中継を楽しむことができます。
香港マイル
香港マイルは香港国際G1の3戦目に行われるマイル競走です。
国際競走として設立された当初はアイルランドやオーストラリアなど、海外馬が優勝していましたが、2002年ごろから香港勢が跋扈し始めます。
グッドババやビューティージェネレーションなど、名だたる香港マイラーが香港マイルで頭角を現し、一時は香港勢が上位を独占しつつありました。
しかしながら、2015年に安田記念とマイルチャンピオンシップを連勝した日本のモーリスが香港勢の連勝記録に終止符を打つと、日本馬も少しずつ台頭します。
2018年のヴィブロスがビューティージェネレーションの2着に入選し、惜しいところまで行きました。
すると、翌年にはアドマイヤマーズが日本の3歳馬としては初となる香港マイルを制しました。
香港マイルの開催内容(2022年)
開催日 | 12月11日(日曜) |
発走時刻(日本時間) | 17時00分 |
格付け | G1 |
開催競馬場 | シャティン競馬場 7R |
コース | 芝1,600m |
性齢 | 3歳以上 |
斤量 | 定量 |
1着賞金 | 12,540,000香港ドル(約3億円) |
香港マイルが開催されるシャティンの芝1,600mの特徴
シャティン競馬場は全長1899mある右回りコースでフルゲートは14頭となっています。
香港マイルが開催されるシャティン芝1,600mのスタート地点は2コーナーから向こう正面に差し掛かるあたりです。
スタートから最初のコーナーまでは700m以上もあるため枠の有利不利はほとんど見られません。
最初のコーナーまでは緩やかな上り坂で、3コーナーから4コーナーに入るあたりで下り傾斜になり、直線も下り勾配となっています。
最後の直線早く430mあと、阪神外回りの直線並みに長く、最後の急坂が存在しない阪神競馬場と言ってもいいくらいコースが似ています。
向こう正面、スタンド前直線ともに長く走り、コースの大半が直線となっているためほとんど直線勝負に近いコースとなっているのが特徴です。
そのため、コーナーの立ち回りは意外と求められず、直線でのスピード力が試されやすいコース形態です。
ただし、シャティンは西洋芝がしかれています。
いわゆる洋芝で時計がかかりやすい馬上なので、ただスピードがあるだけではなく、パワーも兼ね備えている馬の方が出し切りやすい傾向があるようです。
香港マイルをリアルタイムで視聴する方法
香港ヴァーズの視聴方法は主に2つあります。
1つめはテレビで試聴する方法です。
有料放送のグリーンチャンネルがレース当日の16時半から18時半の間、無料で番組を放送しています。
グリーンチャンネルの会員じゃなくてもチャンネルがつく環境であればだれでも視聴できます。
テレビで見れない方はグリーンチャンネルWEBの方で会員登録すれば無料で視聴できるようです。
なお、フジテレビやBSイレブンでは香港ヴァーズと香港スプリントが放送されますが、香港マイルと香港カップは放送していません。
なぜなら、香港ヴァーズと香港スプリントは15時台に開催され、ちょうどフジテレビやBSイレブンの競馬番組と被るため放送しますが、香港マイルと香港カップは17時台のレースなので番組外になるからです。
2つ目はラジオで、ラジオの場合はラジオNIKKEI第1で視聴できます。
ラジオアプリの「radiko」や「radikker」を利用すれば全国どこでも無料で香港マイルの中継を楽しむことができます。
香港カップ
香港カップは香港国際競走のトリを務めるレースです。
舞台はシャティン競馬場の芝2,000mです。
香港国際競争の中でも最も賞金額が高く、1着馬の賞金は1,938万香港ドル(約3億4000万円)で、賞金額を見ても力の入れ具合が感じられます。
ちなみに、日本でもっとも賞金の高い有馬記念とジャパンカップが4億円で、そのつぎに高いのがダービーや天皇賞、宝塚記念の2億なので香港カップは非常に賞金が高いレースです。
レースに話を戻すと、芝2,000mという典型的な中距離コースという事で世界中から一流ホースが参戦します。
それは日本も例外ではなく、毎年日本からも参戦しています。
その多くは近い時期に行われる有馬記念をあえて避けて香港を選択しています。
なぜなら、有馬記念は2,500mの中山というトリッキーなコース形態で意外と適性が問われやすいからです。
管理する馬が有馬記念で出し切れないと判断した陣営は、適性のかみ合いやすい香港を選択することが多いようです。
ちなみに、去年はジオグリフ・パンサラッサ・ジャックドール・ダノンザキッド・レイパパレの5頭の日本馬が顔をそろえています。
いずれの馬もGIレベルの馬でこれまで日本競馬界を大いに盛り上げました。
香港カップの開催内容(2022年)
開催日 | 12月11日(日曜) |
発走時刻(日本時間) | 17時40分 |
格付け | G1 |
開催競馬場 | シャティン競馬場 8R |
コース | 芝2,000m |
性齢 | 3歳以上 |
斤量 | 定量 |
1着賞金 | 19,380,000香港ドル(約3億4000万円) |
香港カップが開催されるシャティンの芝2,000mの特徴
シャティン競馬場の芝2,000mはスタンド前やや左がスタート地点でコースを1周強走ります。
右回りでフルゲートは14頭立てとなっています。
スタート地点はスタンド前で、観客の歓声が響き渡る中、ゲートインします。
このとき、歓声が耳に入って神経をくすぶられる馬は入れ込みやすく、精神的な強さと脆さも反映されやすいです。
スタートから最初のコーナーまでは150mほどしかありません。
そのため、先行争いが激しくなりやすく、特に内枠の逃げ・先行馬はハナ争いに加わるべく必要以上にペースを上げがちです。
最初の1.2コーナーはやや鋭角なカーブで、向こう正面は700mほどあります。
そして、3.4コーナーも1.2コーナー同様鋭角ですが、外に向けて坂があるためそこまで減速しなくても立ち回れます。
最後の直線は約430mで、下り傾斜となっているためペースを引き上げやすいですよ。
シャティン競馬場の芝2,000mはスタートと最初のコーナーまでの位置取りが非常に重要です。
なぜなら、ゲートと最初のコーナーが150mしかないため、逃げや先行馬はどこでケイバするかが問われます。
特に、今年は日本馬だけでもパンサラッサとジャックドール、そしてレイパパレ辺りは間違いなく前の方で競馬がしたいので、どの馬が先頭に立つ、更にはゲート番号も重要になります。
できればこの3頭、特に二の足の早いジャックドールとパンサラッサは内枠を引いたほうがよいでしょう。
コース自体はスピードが出やすい造りとなっていてトップスピードで競馬が出来るようです。
ただし、シャティン競馬場では西洋芝という洋芝を導入していることから時計がかかりやすく、それなりにパワーも求められます。
香港カップをリアルタイムで視聴する方法
香港カップの視聴方法は主に2つあります。
1つめはテレビで試聴する方法です。
有料放送のグリーンチャンネルがレース当日の16時半から18時半の間、無料で番組を放送しています。
グリーンチャンネルの会員じゃなくてもチャンネルがつく環境であればだれでも視聴できます。
テレビで見れない方はグリーンチャンネルWEBの方で会員登録すれば無料で視聴できるようです。
なお、フジテレビやBSイレブンでは香港ヴァーズと香港スプリントが放送されますが、香港マイルと香港カップは放送していません。
なぜなら、香港ヴァーズと香港スプリントは15時台に開催され、ちょうどフジテレビやBSイレブンの競馬番組と被るため放送しますが、香港マイルと香港カップは17時台のレースなので番組外になるからです。
2つ目はラジオで、ラジオの場合はラジオNIKKEI第1で視聴できます。
ラジオアプリの「radiko」や「radikker」を利用すれば全国どこでも無料で香港マイルの中継を楽しむことができます。
まとめ
今回の記事では香港国際競争についてご紹介していきました。
近年では、日本馬も香港勢相手に健闘しています。
香港の競馬では馬券も日本より豊富で、日本で発売されている馬券に加えて1~4着馬を順番通りに充てる「4重彩」、連続する2レースの勝馬を当てる「孖寳」、最も活躍する騎手を予想する「騎師王」等15種類の馬券が販売されています。
日本から香港までは飛行機で4~5時間で、LCCも就航しており、週末を利用して旅行することもできます。
観光のついでに、日本に最も身近な海外競馬の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。