アーモンドアイって何?経歴は?種牡馬としての成績や産駒についても解説!
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アーモンドアイって何?
アーモンドアイと言えば2018年度を代表する競走馬です。
主なレースとしては、2018年の桜花賞、優駿牝馬、秋華賞、ジャパンカップ、2019年のドバイターフ、天皇賞(秋)で勝利し、史上5頭目の牝馬三冠馬となりました。
そんなアーモンドアイの父は短距離GI6勝を挙げた”世界の”ロードカナロア、母は2006年エリザベス女王杯を勝利したフサイチパンドラで、名前の由来は「美人とされる顔の目の形」から付けられているようです。
2020年の最優秀競走馬を受賞しており、日本調教馬として初めて総獲得賞金が19億円に達し、日本馬の最多獲得賞金でもあります。
今回はそんなアーモンドアイについてご紹介していきたいと思います。
アーモンドアイの経歴
2006年のエリザベス女王杯を優勝した牝馬のフサイチパンドラと、2012年から2013年にかけてGI級競争を6勝した牡馬のロードカナロアの間に誕生した鹿毛の牝馬でした。
2017年8月、新潟競馬場の新馬戦でニシノウララに敗れて2着となるも、10月の未勝利戦から、2019年3月のドバイターフまで7連勝。
この間に、史上5頭目の牝馬三冠を達成、ジャパンカップを世界レコードと広く認識されている記録よりも速いタイムで走破し優勝しました。
4歳時の2019年は、ドバイターフ、天皇賞(秋)優勝し、5歳時の2020年は、ヴィクトリアマイル、天皇賞(秋)、ジャパンカップを優勝しました。
JRA賞の他に、2018年から2020年にかけて3年連続東京競馬記者クラブ賞を獲得。
また2020年朝日スポーツ賞の受賞は、競馬関係者としては騎手の武豊に続いて2例目、競走馬としては初でした。
生まれ故郷の北海道安平町特別栄誉賞です。
誕生までの経緯
フサイチパンドラは、2003年に北海道早来町ノーザンファームで生産された牝馬で、父はサンデーサイレンスです。
栗東トレーニングセンターの白井寿昭厩舎に入り、競走馬として21戦4勝、2006年のエリザベス女王杯(GI)、2007年の札幌記念(JpnII)を優勝しました。
引退後は、故郷のノーザンファームで繁殖牝馬になり、2009年に父シンボリクリスエスの初仔を生産。
以降シンボリクリスエス、キングカメハメハ、ハービンジャーと交配し、2014年までに6頭を得ました。
6頭の成績は、スぺルヴィアの中央競馬2章が最高となっています。2014年の後輩では、供用初年度である新種牡馬のロードカナロアが相手として選ばれました。
ロードカナロアは、2008年にホッカイドウ新ひだか町のケイアイファームで生産された牡で、父はキングカメハメハです。
栗東トレーニングセンターの安田隆行厩舎に入り、競走馬として19戦13勝。
2012年から2013年にかけてはスプリンターズステークス(GI)並びに香港スプリント(G1)を連覇、さらに2013年の高松宮記念(GI)、安田記念(GI)も優勝し、2013年にはスプリンターとして初めてJRA賞年度代表馬を獲得しました。
2013年12月の香港スプリント優勝を最後に競走馬を引退し、2014年1月、北海道安平町の社台スタリオンステーションにて種牡馬として繋養されました。
初年度の種付け料は、同時期に種牡馬に転身した中央競馬クラシック三冠馬・オルフェーヴルの600万円に次ぐ500万円に設定され、初年度は、254頭の牝馬に種付けを実施し、翌2015年には180頭の血統登録された仔を得ました。
幼駒時代
2015年3月10日、北海道安平町のノーザンファームにて、後のアーモンドアイであるフサイチパンドラの7番仔が誕生します。
産まれた仔は、ファームの岸川学繁殖厩社長によれば、「フサイチパンドラの仔は総じて見た目が良く、恵まれた馬体をしていたのですが、その中でも牝馬らしからぬ力強さがあった」と言います。
何事もなく順調に離乳し、ノーザンファームYearlingにて中期育成が施されました。
Yearlingの川崎洋史場長は「馬体の良さに加えて、放牧地での動きも良く、運動量も豊富で怪我もしないという、まさに超優等生でした。精神面も大人びていると思いました」と述懐しています。
クラブ法人の有限会社シルクレーシングが所有し、愛馬会法人の有限会社シルク・ホースクラブにて、総額3000万円で出資会員の募集を実施。
1歳春には、美浦トレーニングセンター所属の国枝栄調教師による管理が決定しました。
同じころ、初めて仔と対面した国枝は「いい顔をしていてバランスが良かった」と評しています。
仔には出資した会員により、「美人とされる顔の目の形」を意味する「アーモンドアイ」と命名されました。
アーモンドアイは、予定通り国枝厩舎に入厩し、6月7日には、ゲート試験に合格しました。
新参記念で重賞初制覇
2017年8月6日、新潟競馬場の新馬戦に、クリストフ・ルメールが騎乗しデビュー、単勝オッズ1.3倍の1番人気で出走しました。
スタートから後方追走となり、最終コーナーを11番手で通過して直線で追い上げるも、2番手から抜け出した4番人気ニシノウララに騎乗したのは、見習騎手で負担重量3キログラム減の野中悠太朗であり、野中によれば「ゴールした後にルメールに『何キロ?』と聞かれて答えると『あー、それは届きません』って言っていました」と述懐しています。
それから10月8日、東京競馬場の未勝利戦に単勝オッズ1.2倍の1番人気に支持されて出走。
中団待機から、ルメールが鞭をせずとも抜け出し、後方に3馬身半差をつけて初勝利としました。
続いて目標を阪神競馬場で開催される桜花賞に定め、2018年1月8日、同じ関西の京都競馬場で行われるシンザン記念(GIII)に参戦。
主戦騎手のルメールが騎乗停止となったため、代役として戸崎圭太を立てて参戦。
雨が降り、経験のない稍重馬場でしたが、単勝オッズ2.9倍の1番人気に推されました。
スタートで出遅れ、後方から2番手を進み、直線では大外から追い上げを開始、内では逃げたカシアスとツヅミモンが競り合っていましたが、それらを差し切り、後方に1馬身4分の3差をつけて入線しました。
2連勝で重賞初勝利となり、2012年に牝馬三冠を果たしたジェンティルドンナ以来となる牝馬のシンザン記念優勝でした。
牝馬三冠
桜花賞
その後は、ノーザンファーム天栄に放牧。
目標とする桜花賞にはトライアル競走を用いずに直行する事となり、3月15日に帰厩しました。
鞍上は、騎乗停止期間が明けたルメールが舞い戻り、4月8日の桜花賞(GI)に出走。
前年の阪神ジュベナイフィリーズやトライアル競走のチューリップ賞など4戦4勝のラッキーライラックが単勝オッズ1.8倍の1番人気、アーモンドアイはそれに次ぐ3.9倍の2番人気でした。
スタートから先行したラッキーライラックが好位に留まり、アーモンドアイは大外に持ち出して追い上げを開始、直線入口での両社の差は「およそ8馬身」存在しました。
残り200メートルにて、ラッキーライラックが抜け出し、後方との差を広げにかかっていましたが、同じ頃、その「3馬身ほど後ろ」まで迫っていたアーモンドアイが、末脚を発揮。
ラッキーライラックを「並ぶ間もなく楽々と差し切り」「アッサリとかわし」、そのうえ1馬身4分の3差をつけて先頭で入線、3連勝でGI初勝利となりました。
走破タイム1分33秒1は、かつて国枝が管理し、2010年に牝馬三冠を達成したアパパネの持つ桜花賞レコード・1分33秒3を0.2秒更新。
ロードカナロアにとっては、初年度産駒からGIおよびクラシック競走優勝馬が誕生しました。
この走りにルメールは「アーモンドアイはチャンピオンホース。僕は何もしなかった。彼女のポテンシャルはすごく高いです。トリプルクラウンを考えることができると思います。また大きなレースを勝つことができると思います」とし、このトリプルクラウンは「三冠宣言」と解されました。
この後は、ノーザンファーム天栄に移動して放牧となりました。
優駿牝馬
5月3日に帰厩、前日に東京競馬場に輸送されました。
5月20日に優駿牝馬(GI)に出走、単勝オッズ1.7倍の1番人気に推されました。
次いで4.1倍の2番人気には前走下したラッキーライラック、5.5倍の3番人気にはフローラステークス優勝から臨むサトノワルキューレとなり、以上の3頭が単勝オッズ一桁台でした。
他に後れを取らない「互角のスタート」「好スタート」となって先行。
サヤカチャンが逃げる中、第2コーナーを6番手で通過し、同じく先行したラッキーライラックの直後で「マークする形」となりました。
最後の直線に入ってまもなく、ラッキーライラックの外に並びかけ、残り400メートルで追い上げを開始。
サヤカチャンに変わって先頭に立ったリリーノーブルを、残り200メートル地点でかわして突き放して、後方に2馬身差をつけて戦闘で入線し、4連勝でGI2勝目となりました。
2012年のジェンティルドンナ以来、6年ぶり史上14頭目となる牝馬クラシック二冠を達成しました。
走破タイム2分23秒8は、そのジェンティルドンナのレースレコードである2分23秒6に次いで優駿牝馬史上2番目でした。
ルメールは「2400メートルも問題なかったし、秋華賞の2000メートルも大丈夫そうです。ポテンシャルが高く特別な馬なので、海外でも行けると思います。」と述懐。
またルメールは、前年をソウルスターリングで勝利しており、史上6人目となる優駿牝馬連覇を達成しています。
加えて当日は、自信の39歳の誕生日でした。
この後は、ノーザンファーム天栄で放牧、秋は牝馬三冠の三冠目である秋華賞出走を宣言し、直行することになりました。
秋華賞
9月12日に帰厩し、10月14の秋華賞(GI)に出走、単勝オッズ1.3倍の1番人気に推されました。
続く2番人気のラッキーライラックは7.3倍、それ以下のオッズは2桁以上を示す「圧倒的1番人気」でした。
他に半馬身後れを取るスタートから中団~後方に位置。
最終コーナーでも後ろから3番手で通過し、直線では馬場の大外に持ち出していました。
逃げた5番人気のミッキーチャームとは10馬身ほどの差がありましたが、残り400メートルにてルメールのアイズが送られ「1頭次元が違う末脚」「他の馬が止まって見えるほど次元が違う末脚」を使って追い上げました。
残り150メートルでミッキーチャームをかわして突き放し、後方に1馬身半差をつけて入線。
GI3勝目であり、2012年のジェンティルドンナ以来6年ぶり5頭目となる牝馬三冠を達成しました。
ルメールは「素晴らしい馬です。三冠を獲れて信じられない気持ちです。素晴らしい脚で頑張ってくれました。ファンタスティックホースです。もう少し上のレベルに行けるかは分かりませんが、日本で一番強い馬だと思います。今後も楽しみです。」と述懐。
またルメールは、前年をディアドラで勝利しており、岩田康誠、浜中俊に続いて史上3人目となる秋華賞連覇を達成しています。
国枝にとっては、2010年のアパパネ以来2度目の牝馬三冠を達成。
中央競馬において、同じ厩舎から2頭の三冠馬が誕生するのは、史上初めてでした。
この後は、ノーザンファーム天栄で放牧となりました。
ジャパンカップ
11月8日に帰厩し、11月25日のジャパンカップ(GI)に、単勝オッズ1.4倍の1番人気で出走。
2番人気、大阪杯優勝馬のスワーヴリチャードが6.5倍、3番人気のGI2勝馬のサトノダイヤモンドが7.1倍、4番人気の菊花賞優勝馬のキセキが9.2倍、5番人気、前年の優勝馬のシュヴァルグランが12.9倍というように、年上のGI優勝馬を上回る評価が与えられました。
更に単勝支持率は、53.4パーセントに上り、2006年に1番人気となったディープインパクトの支持率61.2パーセントに次ぐジャパンカップ歴代2位の記録となりました。
1枠1番から先行し、3・4番手で第一コーナーを通過。
逃げるキセキに次ぐ2番手を保ち、戦闘の奇跡が3馬身ほどリードをする中で最後の直線に進入しました。
キセキは、追い出しを初めて後方との差を広げにかかりますが、アーモンドアイが手綱を抑えた状態でその背後に位置。
残り300メートルにて、キセキの外側に持ち出し、ルメールのステッキ3発に応えて末脚を見せると、キセキを並ぶ間もなく一瞬にしてかわして突き放し、1馬身4分の3差をつけて入線し、GI4連勝としました。
美浦所属の関東馬としては、2008年のスクリーンヒーロー依頼10年ぶり史上5該目の優勝。
さらに3歳牝馬としては、2012年のジェンティルドンナ以来6年ぶり史上2頭目の優勝でした。
加えてルメールにとっては、2009年のウオッカいらい2度目のジャパンカップ優勝でした。
また、走破タイム2分20秒6は、2005年のジャパンカップにてアルカセットが記録し、ジャパンカップレコードおよびコースレコード、日本レコードである2分22秒1を1.5秒更新。
1999年のアルゼンチン・カルロスペレグリーニ大賞(GI)にてアシデロが記録し、芝2400メートルの世界レコードと認識されていた2分21秒98を1秒以上更新しました。
その後は、有馬記念には進まず、ノーザンファーム天栄にて放牧。
次走を、招待されていたドバイターフとしました。
5戦5勝、GI4勝を挙げたこの年のJRA賞表彰では、共に276票を集めて満票でJRA賞年度代表馬、JRA賞最優秀3歳牝馬に選出。
JRA賞年度代表馬の満票選出は、2000年のテイエムオペラオー以来2頭目であり、牝馬としては史上初めてでした。
併せて、3歳牝馬のJRA賞年度代表馬受賞は、2012年のジェンティルドンナ以来6年ぶり史上2頭目でした。
また、アーモンドアイとその関係者一同は、東京競馬記者クラブ賞を受賞しました。
4歳
ドバイターフ
2月22日に帰厩し、3月13日からトレーニングセンター内の輸出検疫所にて1週間の検疫を実施しました。
アーモンドアイには検疫所生活を安心して過ごすために、遠征する予定もなく、本来検疫する必要のないキングスヴァリューを、帯同馬として検疫に同行させました。
権益を済ませた3月20日、関東馬の3頭とともに成田国際空港に移動し、エティハド航空9946便で出発しました。
関西国際空港に経由して栗東トレーニングセンター所属の関西馬の6頭も合流し、同日に出国。
翌3月21日にアラブ首長国連邦のアール・マクトゥーム国際空港に到着し、現地に入厩しました。
3月30日、メイダン競馬場のドバイターフ(GI)に出走。
JRAが発売し日本国内独自のオッズでは、単勝1.2倍の1番人気の支持。
イギリスのブックメーカーも揃ってアーモンドアイを本命にしていました。
好スタートから中団に位置し、逃げるイギリス調教馬センチュリードリームとは、5・6馬身差の7番手で最終コーナーを通過しました。
直線では、外に持ち出して進路を確保し、残り300メートルで軽く仕掛けた程度で馬なりのままセンチュリードリームをかわし、先頭となりました。
それからアーモンドアイの背後にいたヴィブロス、ロードグリッターズの追い込みを許さず、それらに1馬身以上の差をつけて先頭で入線。
GI級競争5連勝となり、2007年アドマイヤムーン、2014年ジャスタウェイ、2016年リアルスティール、2017年ヴィブロスに続いて日本調教馬5頭目のドバイターフ優勝でした。
4月2日に帰国し、JRA競馬学校での検疫、4月8日から29日まで、ノーザンファーム天栄で放牧し、次走を安田記念としました。
安田記念
5月10日に帰厩し、6月3日の安田記念(GI)に出走、単勝オッズ1.7倍の1番人気に推されました。
続く3.2倍の2番人気には、同世代のGI優勝馬で6戦5勝のダノンプレミアムが続き、この対決は「二強」と呼ばれていました。
アーモンドアイは7枠14番、ダノンザプレミアムはその隣の8枠15番のゲートに収まり発馬しましたが、直後に8枠16番のロジクライが内側に斜行。
ロジクライは、二強と14番ロードクエスト、13番ペルシアンナイトの4頭の進路を妨害し、アーモンドアイは後方に位置せざるを得ませんでした。
やがて中団まで位置を上げるも進路を確保できず、直線では外に持ち出して追撃。
残り400メートル地点では戦闘から7馬身程の差を縮めましたが、先に抜け出していたインディチャンプに、クビとハナ差届かず3着。
ルメールはその斜行を「スタートで5馬身ぐらいのロスがあった」とし、国枝も「スタートがすべて。上位2頭はスムーズだったから」と振り返っています。
その後は、ノーザンファーム天栄で放牧、次走を天皇賞(秋)としました。
天皇賞(秋)
9月26日に帰厩し、10月27日の天皇賞(秋)に出走、単勝オッズ1.6倍の1番人気に推されました。
3.4倍の2番人気は3歳牡馬のサートゥルナーリアが前に割り込んできたためつまづくようなそぶりを見せましたが、折り合いを保ち、好位の4・5番手に位置し、最終コーナーを通過。
直線では前方に、逃げるアエロリットやスティッフェリオ、ダノンプレミアム、サートゥルナーリアが横一列に広がり、進路を塞がれていたましが、残り250メートル付近で馬場の最も内側を突いて抜け出し、末脚でもって後方との差を3馬身まで広げ、先頭で入線しました。
GI級競走6勝目となり、牝馬としては、2010年のブエナビスタ以来9年ぶり史上16回目の天皇賞(秋)優勝。
加えてルメールは、天皇賞春秋連覇、天皇賞(秋)連覇、さらに史上3人目となる天皇賞3連勝を達成しました。
また、走破タイム1分56秒2は、2011年の天皇賞(秋)でトーセンジョーダンが記録した天皇賞(秋)レコードおよびコースレコード、日本レコードである1分56秒1に0.1秒差まで迫っていました。
有馬記念
その後は、ノーザンファーム天栄に放牧され、11月21日に帰厩。
次走を12月13日の香港カップとし、11月30日に成田国際空港から日本貨物航空203便で出国する計画でした。
11月24日からは輸出検疫をこなしましたが、出国前日の11月29日夕方に38.5度というわずかな熱発を発症。
「輸送とかでぶり返す可能性がある」(国枝)「万全の状態で出走させることは難しい」(シルクホースステークス)として香港カップを回避しました。
熱発自体は数日で治まり、12月1日には調教を再開、その後も香港カップの主催者である香港ジョッキークラブから出走の誘いがありましたが断り、代わりにファン投票1位となった有馬記念出走を表明しました。
12月22日、有馬記念(GI)に単勝オッズ1.5倍の1番人気で出走、中団に位置しましたが、直線で伸ばすことができず後退してしまい、勝利した2番人気のリスグラシューに1.8秒遅れた9着、初めて着外に敗れました。
ルメールは「スタンド前で冷静に走れなかった」と述懐しています。
その後は、ノーザンファーム天栄で放牧、次走を前年と同様に、招待されていたドバイターフとしました。
JRA賞表彰では、JRA賞年度代表馬選考は全274票中2票、JRA賞最優秀4歳以上牝馬選考は3票にとどまり、いずれも選出されませんでした。
またどちらの部門もリスグラシューが受賞しています。
また、アーモンドアイとその関係者一同は、2年連続で東京競馬記者クラブ賞を受賞しています。
5歳
ヴィクトリアマイル
2月27日に帰厩し、3月11日からは検疫をこなして、3月15日に出国しました。
翌3月19日にアル・マクトゥーム国際空港到着し現地に入厩。
出発時点では新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、無観客競馬として開催されることとなっていました。
しかし、3月22日にドバイワールドカップ2020組織委員会が「全ての参加者の健康を守るため」に来年への延期を発表、事実上の開催中止となりました。
引き返して3月29日に帰国し、競馬学校で輸入検疫。
明けた後は、ノーザンファーム天栄で移動し調整となり、次走をヴィクトリアマイルとしました。
4月30日に帰厩し、5月17のヴィクトリアマイル(GI)に、単勝オッズ1.4倍の1番人気で出走しました。
続く7.5倍の2番人気は重賞3勝のプリモシーン、9.5倍の3番人気は1歳年下の優駿牝馬勝馬であるラヴズオンリーユーが続きました。
アーモンドアイへの支持は、ブエナビスタやウオッカを上回るヴィクトリアマイル史上最高でした。
好スタートから中団よりも前めの位置で追走しました。
持ったままの状態で直線にむき、残り200メートルにて逃げるトロワゼトワルやサウンドキアラらをかわし、以降は独走、残り100メートルをほとんど流してはしり、後方に4馬身差をつけて入線しました。
GI級競争7勝目となり、中でも芝GI級競争7勝はシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラックに並ぶ史上最多記録タイとなりました。
また、JRA-GI6勝はブエナビスタ、オルフェーブル、ジェンティルドンナ、ゴールドシップに並び、史上10頭目の記録となりました。
さらに、この勝利により、ドバイターフを含めると総獲得賞金は14億663万3900円となり歴代7位。
牝馬としてはブエナビスタ、ジェンティルドンナ、ウオッカに次いで史上4頭目となる国内獲得賞金10億円突破となりました。
ルメールにとっては2017年のアドマイヤリード以来3年ぶり、国枝にとっては2011年のアパパネ以来のヴィクトリアマイル優勝であり、いずれも2勝目でした。
その後は厩舎に滞在したまま調整を実施、次走を中2週で安田記念としました。
安田記念
6月7日の安田記念に、単勝オッズ1.3倍の1番人気で出走しました。
続く7.0倍の2番人気には、前年の優勝馬で、前年秋にはマイルチャンピオンシップも制したインディチャンプとなり、この2頭がオッズ一桁台の支持を集めました。
そのほか、グランアレグリア、ダノンプレミアム、アドマイヤマーズ、ノームコアなどGI優勝馬が出走14頭の内、10頭を占めた豪華メンバーでした。
発馬の際、ゲート中で前扉に突っ込むような体制となり、前にのめるようなスタートで、他よりも1馬身後れを取りました。
その後は中団やや後方に位置。
直線では外に持ち出して追い上げ、残り400メートルから進路を確保して末脚を繰り出そうと試みていました。
しかし、これまでのような伸びがなく、2番手まで浮上したものの、好位から抜け出していたグランアレグリアとの差は縮めることができず、2馬身半差の2着。
ルメールは「最後も脚は使っている。でも、本来の彼女ならもっといい脚を使うはず」、国枝は「体調は良かった。出遅れたのが敗因」としています。
その後は、ノーザンファーム天栄に放牧、次走を天皇賞(秋)としました。
天皇賞(秋)
10月2日の帰厩し、11月1日の天皇賞(秋)に出走、単勝オッズ1.4倍の1番人気に推され、続く4.4倍の2番人気には、この年の宝塚記念優勝馬であるクロノジェネシスであり、この2頭がオッズ一桁台でした。
好スタートから、3、4番手の好位に位置、同じく好位のまま最終コーナーを通過し、直線では持ったままの状態で逃げるダノンプレミアムに残り200メートル地点で並びかけました。
ルメールにより仕掛けられると末脚を見せて、残り100メートルで抜け出しました。
外からは2番人気のクロノジェネシス、5番人気フィエールマンが迫りましたが、それらに半馬身振り切り戦闘で入線。
GI級競走8勝目となり、中でもしばGI 級競走8勝は、これまで最多とされていた7勝のシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラックを上回り、史上最多勝利記録を更新しました。
また、2002~2003年のシンボリクリスエス以来史上2頭目の天皇賞(秋)連覇でした。
さらに史上初めて牝馬、内国産馬による天皇賞(秋)連覇、そのうえ史上初めて東京競馬場開催のみの天皇賞(秋)連覇でした。
総獲得賞金は16億1202万9900円に上り、ブエナビスタとオルフェーブルを抜いて歴代4位、加えてルメールは、保田隆芳以来69年ぶり史上2人目となる天皇賞(秋)3連覇。
また、天皇賞5連勝を果たし、自信がこの年の天皇賞(春)で更新しました。
その後は、ノーザンファーム天栄に放牧、次走をジャパンカップとするとともに、引退レースとなることが決定しました。
ジャパンカップ
11月18日に帰厩し、11月29日のジャパンカップに出走。
出走メンバーには、2歳年下で無敗の三冠牝馬であるデアリングタクト、同じく無敗の三冠馬であるコントレイルがおり、史上初めて三冠馬3頭の対決が実現し、「夢のようなレース」(内海裕介)と「世紀の対決」(産業経済新聞)と表されました。
アーモンドアイは、単勝オッズ2.2倍の1番人気の支持。
以下、コントレイルが2.8倍の2番人気、デアリングタクトが3.7倍の3番人気と続き、人気の面でも三冠馬3頭が「三強」を形成しました。
スタートを決めましたが、キセキやトーラスジェミニなどの主張に屈して、4・5番手の好位で追走し、はいごにはデアリングタクトがおり、マークされる形となりました。
ハナを奪ったキセキはハイペースの大逃げを展開、その他大勢とは大きな差が生まれ、大勢は変わらないまま最終コーナーを通過しました。
直線ではデアリングタクトが外に持ち出し、後方に待機していたコントレイルと共に追い上げる一方で、アーモンドアイは、馬郡の戦闘にいたトラースジェミニとグローリーヴェイズの間から進出。
残り400メートルにてルメールの追い動作に反応し、グローリーヴェイズに並びかけて2番手となり、キセキを目指しました。
残り200メートルにてルメールの鞭に反応し、さらなる反応を見せると、まもなくキセキをかわして先頭となりました。
追いすがるグローリーヴェイズ、背後から狙ったデアリングタクトとカレンブーケドール、大外に持ち出したコントレイルの追撃を退け、リードを保ったまま先頭で入線。
2着のコントレイルに1馬身4分の1差、3着のデアリングタクトに1馬身4分の1+クビ差をつけて優勝しました。
GI級競走9勝目となり、芝GI級競走9勝は自身を持つ史上最多記録を再び更新しました。
さらにJRA-GI8勝も、史上最多記録を更新。JRA重賞9勝は、ヒシアマゾンの史上最多記録に並びました。
そのうえ、総獲得賞金は19億1526万3900円は、キタサンブラックの18億7684万3000円を上回り、史上最多獲得賞金記録を更新しました。
またジャパンカップ2勝は、2012、13年連覇のジェンティルドンナ以来史上2頭目でした。
12月19日、中山競馬場のパドックに約1700人が集まる中、引退式を開催しました。
2020年ジャパンカップ優勝時のゼッケンを着用したアーモンドアイの他に、国枝やルメール、関係者、戸崎、そして三浦皇成が出席しました。
同日付でJRAの競走馬登録を抹消しました。
4戦3勝、内GI3勝を記録したこの年のJRA賞表彰では、全283票中236票を集めてJRA賞年度代表馬に、281票を集めてJRA賞最優秀4歳以上牝馬に選出され、JRA賞年度代表馬は、2年ぶり2度目の受賞となりました。
また、アーモンドアイとその関係者一同として3年連続3回目の東京競馬記者クラブ賞を受賞、さらには朝日スポーツ賞を国枝とともに受賞。
加えて、「多くの人を魅了し、町の名を全国に広めた」ことから生まれ故郷の北海道安平町の特別栄誉賞を受賞しました。
まとめ
今回の記事では、アーモンドアイについてご紹介していきました。
アーモンドアイの強さは、日本競馬が長い時間をかけ、あらゆる面から進めてきた「強い馬づくり」の成果の一つの頂点となっています。
その成果は、既に次のステップの礎となろうとしています。
アーモンドアイから生まれる次の「成果」は果たしてどんな馬で、どんな走りを見せてくれるのが楽しみですね。
アーモンドアイについて気になった方は是非チェックしてみてください。