馬場状態による有利な影響とは?種類や傾向、血統によってタイム差に生じる違い

馬場状態による有利な影響とは?種類や傾向、血統によってタイム差に生じる違い

 

競馬初心者

競馬場の馬場状態ってよく聞くけど、レースにどんな影響が出るの?

馬場状態は天候に左右される部分でレースに強い影響を与えるため、予想をする際にはとても重要な部分となっています。

管理人

今回は馬場状態についての紹介とどのようにレースに影響が出るのか解説していきたいと思います。

馬場状態ってそもそもなに?

馬場の読み方は、ばば・ばんばと言い、乗馬を行うための土地です。

軍馬の場合、繋養する場所や、騎馬修練所や馬の乗り継ぎのため設けられた場所です。

禅定道の起点も馬場と呼ばれています。

近世城下町では武家地に馬場があり、城下に在住する武士が乗馬訓練などを行っています。

現在では競走馬が競走したり調教を行ったりする場所の事を指しています。

馬場は屋外にあり、天候によっては水分が多くなることがあるのでその度合いを馬場状態と言います。

ただ、競馬では、実際に馬がレースの為に走行する走路のことで、今回はその競馬での馬場についてご紹介していきたいと思います。

馬場状態は以下のように分類されます。

馬場の状態意味
馬場にほとんど水分が含まれていない状態
稍重良馬場に比べると少し水分を含んでいる状態
馬場の水分含有率が20%~23%の状態
不良馬場の水分含有率が23%以上の状態

競馬開催時には必ずこの馬場の状態が公開されるようになっており、馬場が不良に近づくにつれて「馬場が悪い」や「道悪」と言ったりします。

馬場状態は馬場判定員が実際にコースに降りて歩いて総合的に判断行います。

その判断基準は以下の通りになります。

馬場の状態ダート
踏みしめた際、馬場の表面はほとんど変化しない状態クッション砂(表層)を握った際、固まらない状態、または固まってもすぐに崩れる状態
稍重踏みしめた際に水は染み出ないが、馬場の表面がやや凹む状態。踏みしめた際に水は染み出ないが、クッション砂を握ると団子状に固まる状態。
表面に水は浮いていないが、踏みしめると水が染み出る状態。表面に水は浮いていないが、踏みしめると水が滲み出る状態。
不良表面や足跡に水が浮いている状態。表面や足跡に水が浮いている状態。

クッション値ってなに?

競馬予想について調べている時に「クッション値」という言葉が出てきて戸惑ったことがある人もいるかもしれません。

クッション値とは、2020年にJRAから発表され始めた馬場情報の一つで競走馬が走行時に着地した反発力=馬場のクッション性を数値で表したものとなります。

最近公表された情報であるため、このクッション値がどれだけレースに影響が与えているのかはわかっていません。

しかし競走馬は地面の反発の一部を推進力などに変えて走っているため、地面の反発力が変わると同じような走りをしていてもスピードが変わってきます。

つまり、レース当日のクッション値が好タイムを出した時のクッション値に近いとそれだけ好タイムが期待できる可能性がありますね。

もし予想で詰まった場合にはクッション値も予想の参考にするのもいいかもしれませんね。

馬場はレースにどんな影響与えるの?

馬場の状態はどれほどレースに影響を与えるのでしょうか?

雨が降っている時のレースを予想する際にはどういった影響を与えているのかを把握する必要があります。

しかし、本当に実力があって強い馬は馬場状態に左右されず、どんな状況下でも実力を出し切るため、馬場状態を考慮して予想を行う際には、実力が拮抗しているレースの時のみにするようにしましょう。

馬場状態はダートの方が影響が出やすい?

馬場状態の影響は芝コースとダートコースでは全く異なってきます。

芝コースの場合は水分を含んで走りづらくなり、タイムは遅くなりますが、ダートの場合は真逆で、水分を含むと足の抜けが良くなって走りやすくなり、タイムは遅くなります。

そして、もう一つダートコースで芝コース以上に考慮しなければならないのが「泥が芝よりも跳ね上がりやすい」という事です。

先述したように、競走馬の中には泥をかぶるのを嫌う性格の馬がいるので、そういった馬はやる気をなくして本来の力を発揮できないこともありますし、気性難の馬は落ち着かなくなって騎手の指示通りに走ってくれなくなる場合もあります。

芝コースとダートコースを比べてみると、ダートコースの方がより馬場状態による影響が出やすいと言えるでしょう。

では実力が拮抗しているレースで馬場状態がどんな影響を与えるのか簡単に紹介していきます。

良馬場とは、芝またはダートがほとんど水分を含んでいない状態のことです。

数値的には水分含有率17パーセント以下を良馬場としていますが、この数値はそこまで気にする必要はないでしょう。

とにかく数日間破裂付きの状態でレース当日になれば、良馬場状態であると思っておいて間違いないでしょう。

良馬場は競走馬たちの力を100%発揮できる状態で、日本では地域の差こそあれど雨よりも晴れの日の方が多いので、基本的には良馬場であることを前提に予想を立てることになります。

ただし、本来の力を出せるという事は、足にかかる負担も大きくなるので、良馬場の状態が一番走行中の故障が起きやすいです。

稍重

稍重とは、良馬場と比べると少し水分を含んでいる状態のことです。

数値的には水分含有率17%以上22%以下となっていますが、そもそも馬場を見ただけでは水分含有量など分かる訳もないので、あまり気にしなくていいです。

良馬場と比べると少し走りづらくはなりますが、そこまでレースの結果を左右する状態でもありません。

ただし良馬場よりも少しだけパワーが必要になってくるので、スタミナにあまり自身が無い馬が走れるかどうかギリギリの距離のレースに出る場合は、稍重であってもかなりつらくなるでしょう。

重馬場での特徴は、稍重の馬場以上にパワーとスタミナが必要になるという点が挙げられます。

良馬場でのスピード勝負が得意な競走馬でも、パワーとスタミナが必要になってくる重馬場でのレースだと結果を残さないことを多いです。

こうした理由から重馬場でのレースは荒れたレース結果になる可能性があるので、重馬場のレースを予想する際には上記の点を覚えておきましょう。

また、芝だと上記のような特徴ですがダートの場合スピードが出やすくなる上、荒れた馬場が得意な馬と不得意な馬がわかりやすくなるといった特徴があります。

芝とダートで違いがあるため、気を付けましょう。

とはいえ、現在の芝はかなり水はけが良いので、相当雨が降らなければ重馬場にはなりません。

不良

重馬場よりも更に水を含んでいる状態(水分含有率が22%を超える状態)の事を不良馬場と呼びます。

特徴は重馬場と同じように、芝だとパワーとスタミナが必要になるのでレースタイムの時間が掛かってしまう、ダートだと逆にレース展開が早くなってレースタイムも早くなるといった特徴があります。

競走馬によっては泥などが跳ねて顔に当たったりするのを極端に嫌がる馬もいるため、かなり荒れた馬場だとレースへの集中を欠けたり途中で失速したりすることもあるので要注意です。

現在の日本競馬では不良馬場にまで悪化する事は滅多にないのですが、不良馬場になった場合は流石に予想を大きく変える必要が出てくるでしょう。

人気馬が差しや追い込みの時は馬場状態で予想を変えた方がいい

馬場状態が悪くなればなるほど差し馬や追い込み馬や追い込み馬にとっては不利になってくるので、人気馬が差し馬や追い込み馬であり、レース当日に雨が降っていて馬場状態があまりよくない時は予想を買えた方が良いでしょう。

普段ならば後方から十分追い抜けるような実力差があったとしても、馬場状態が悪いと伸び悩んで届かない場合もあるからです。

以下の記事では脚質について詳しく紹介していますので、そちらも併せて併せて確認してみてください!

脚質って何?種類は?それぞれの特徴や決め方などを解説!

本当に強い馬は馬場状態に左右されない

競馬では数年に一度、他の馬とは比べ物にならないほど高い能力を持った馬が登場することがあります。

そういった馬にとっては馬場状態は走りにあまり関係なく、多少走りづらくなったりするものの、能力で他の馬をねじ伏せてしまうため、本当に強い馬は馬場状態でその地位が揺らぐというような事は滅多にありません。

ばんえい競馬の場合はどういった影響があるの?

北海道の帯広市でのみで開催されている「ばんえい競馬」には馬場状態での影響はあるのでしょうか?

そもそもばんえい競馬は平地競争や障害競走とは違い、ばんえい馬が鉄製のそりとその上に載っている騎手を曳いてその持久力と騎手のテクニックを競うというレース形式となっています。

そのため、地方競馬や中央競馬の馬場状態で受ける影響も違ったものになります。

馬場が乾いている状態だと平地競争などでは良馬場と呼ばれ、スピードが速い決着になることが多いです。

しかしばんえい競馬では、そりの摩擦が増すせいでタイムが遅くなってしまうという現象になり、良馬場とは呼ばずに重馬場と呼びます。

また、あまり馬場が乾燥していると砂塵が舞ってしまいばんえい馬や観客にまで影響があるため、散水されることがあります。

湿度や雨、雪の影響で馬場に水分が含まれるとそりの滑りが良くなるので、結果としてタイムが速くなることから重馬場の反対で「軽馬場」と呼ばれています。

ばんえい競馬では1974年から赤外線で馬場の水分量を判別する赤外線水分計を導入しているため、数値で馬場の状態を知ることが出来ます。

中央競馬における馬場状態の確認方法

開催当日の総長に本馬場からサンプル採取が行われます。

芝コースに含水率の測定サンプルは4か所で、場所としては直線のゴール前100m地点、2コーナー、3コーナー、4コーナーから採取、ダートでは3か所から採取をしています。

芝コースのサンプルは表面の芝やマット層ではなく、更に下層の路盤の層から採取しています。

馬場状態に影響しているのは路盤の土の層であり、芝やマット層では植物自体の水分も多く含まれることにより、正確な含水率を採取できないためです。

一方、ダートコースの場合は、砂なので保有水分のばらつきは芝に比べ少ないため、路盤の土までは採取せず、表面のクッション砂よりサンプルを採取しています。

サンプル採取後はサンプルを測定器へかけて含水率を算出します。

測定器は赤外線水分計を用いており、赤外線の熱によって水分を蒸発させることにより、測定前と測定後のサンプルの重量を比較することで含水率を算出します。

芝コースは最低値と最高値の2か所を除いた残り2か所の算出平均値、ダートコースは3か所の算出平均値が用いられます。

含水率の基準として東京競馬場の例を挙げると、芝コースの場合は「良」で17%以下、「稍重」で17~20%、「重」で20~23%、「不良」で22%以上となっています。

なお、芝コースは各競馬場において路盤の土や産地が違うため、含水率の基準値は中央競馬場の各競馬場ごとに差があります。

それに対してダートコースの場合は、中央競馬の全競馬場において青森県の六ケ所村付近の海砂を採用しており、各競馬場ごとの基準値に大きな差はありません。

含水率を算出した後は、朝にもう一度馬場取締委員を交えて馬場の踏査が行われます。

踏査の後に含水率をベースに踏査結果や当日の天候が勘案され、馬場状態の判断・発表となります。

馬場状態を発表後、レースが始まった後は馬場職員をコースへ配置して馬場状態の変化を見極め、変化があった時点ですぐに馬場状態の変更発表を行っています。

なお含水率の調査タイミングは基本的に早朝に一度行われるのみです。

その理由としては、含水率の調査には1時間程度を要するため、降雨が続いているような状況では馬場の含水率が判明するまでの間に含水率のデータが変わってしまうためです。

JRA施設部馬場土木課課長の新屋勇人によると、そのような状況であれば経験を積んだ馬場職員に馬場の状態を見て貰った方が正解で早いと言います。

また、馬場に携わっている人であればプラスマイナス1%の誤差の範囲で含水率が分かるそうです。

含水率は2018年の第2回の新潟競馬・第二回小倉競馬・第1回札幌競馬の開幕週からJRAホームページ及びRFラジオ日本で開催当日の朝に放送される直前情報番組「中央競馬大作戦」で公表を開始。

2020年の第4回中山競馬・中京競馬からは芝コースのクッション値も公表されるようになりました。

当日の馬場状態はどこで見れる?

レース当日の競馬場の馬場は、JRAの公式サイトにて確認することが出来ます。

公開時間は金曜日の17時30分以降なため、前日から予想を立てるのにも便利となっています。

また、レース当日に馬場状態が変わってしまった場合にもしっかりとアナウンスがあるため、天気が怪しい時でも安心して馬券を購入することが出来ます。

更に各競馬場の天気予報も天気予報サイトで公開されており、レースの前日の影響もしっかりと確認することができます。

これらの情報を集めて予想するのが、的中する予想を立てたられるようになる上での大切な一歩だと言えます。

海外競馬における馬場について

競馬は日本だけの競技ではなく海外でも行われており、海外でも馬場状態は公表されています。

ここでは主な国の馬場状態についてみていきましょう。

イギリス

英語表記HardFirmGood to FirmGoodGood to soft
Good to Yielding
Soft
Yielding
Heavy
Holding
Frozen
日本語例堅良稍良
稍重
稍良
稍重
稍重
不良-
JRAの翻訳稍重不良-

イギリスでは馬場状態を7つの区分で分けており複合的な馬場の発表が行われるため、「全体的には Goodだが、最終直線の一部はGood to Yielding」といった発表をされることもあります。

基本的には「Good to firm」でレースを行うようにジョッキークラブ(イギリスの競馬に関する組織)が指示しているようです。

アイルランド

英語表記HardFirmGood to FirmGoodGood to soft
Good to Yielding
Soft
Yielding
Heavy
Holding
Frozen
日本語例堅良稍良
稍重
稍良
稍重
稍重
不良-
JRAの翻訳稍重不良-

フランス

フランス語sectreslegerlegerbon legerbonbon souplesoupletres souplecollantlourdters lourd
英語表記dryfast、hardfast、hardgood、firmgood、firmgood、firmdead、softVery softslow、holdingheavyvery heavy
JRAの翻訳-稍重不良不良

フランス競馬では一度発表された馬場状態は余程の事がない限りは変更されないので、もし海外レースを購入することがあれば気を付けましょう。

ドイツ

ドイツ語HartFestGutGut Stellenweise WeichWeich Stellenweise GutWeichSchwerSchwer bis TiefTief
JRAの翻訳稍重稍重不良不良不良

ドイツの土壌は保水性が高いため、雨が降った後に晴れが続いても重い馬場状態が続くことがあります。

アメリカ

英語表記HardFirmGood to FirmGoodGood to SoftYieldingSoftHeavyFrozen
日本語訳堅・堅良堅・堅良堅良稍重稍重不良-
JRAの翻訳-稍重-不良-

アメリカの競馬はダートが主流ですが、日本のダートとは違い土のようなものになっているのでハイスピードで終わります。

UAE(アラブ首長国連邦)

英語表記FastGoodYieldingSlowHeavy
JRAの翻訳稍重不良

オーストラリア

英語表記FirmFirmGoodGoodSoftSoftSoftHeavyHeavyHeavy
12345678910
JRAの翻訳稍重稍重稍重不良不良不良

オーストラリアの競馬場にあるランドウィック競馬場は、あまり水はけがいいとは言えない競馬場であり、降水量が多い時期の馬場はかなり悪化しやすいという特徴があります。

香港

英語表記Firmgood to firmgoodgood to yieldingyieldingyielding to softSoftHeavy
中国表記快地好至快地好地好地至黏地黏地黏地至軟地軟地大爛地
JRAの翻訳稍重稍重不良

香港のシャティン競馬場は世界屈指の水はけのよさと保水性を持っています。

更にパドックにも開閉式の屋根が備え付けられているため、天候への配慮がされています。

まとめ

今回は馬場状態についての紹介、解説を行いました。

馬場状態はレースに影響を与える要素の一つであり、天候にもよって左右されるため当日まではわかりません。

そのため、レースの予想をする際には馬場状態をしっかりとチェックする必要があります。

馬場状態によって有利な脚質/不利な脚質が分けられるため、前走までのデータをしっかりと集めてどの馬がどんな脚質なのかを知っておくと馬場状態が変わっても予想をしやすくなると思います。

また、馬場状態によっては走ることや顔に泥がかかることを嫌がる馬もいる可能性があります。

そういった部分は一度走ったことあるかどうかでしか判別することが出来ません。

もし一度も荒れた馬場を走ったことない馬がいた場合は要注意です。

これらの情報をしっかりと把握した上で馬券を購入すると安定した的中や番狂わせの馬券を手にすることができるかもしれません。

本間真一郎

1978年12月22日生。東京大学経済学部中退。 某大手商社で役職に就く典型的なエリートでかなりの知的派。その一方で趣味の競馬歴は既に20年を超えており、2021年のエリ女で3連単を的中させたことを未だに友人に自慢している。 好きな馬はもちろんアカイイト。 趣味は車とウイスキー。最近横浜にバーを開店させたオーナーとしての一面もある。 好きな言葉は「明日の百より今日の五十」。

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